【名著書評】株式投資の未来|人気株より不人気株が報われる理由

株式投資

こんにちは、アジ大です。

みなさんは普段どのように銘柄研究をされていますか?

SNSやニュースで「次の注目銘柄」を探すのも楽しいですが、

投資関連の過去の名著を読むことも非常に有益です。

なぜなら、株式市場は常に新しいテーマで盛り上がりますが、

長期リターンを左右する仕組みは昔から変わっていないからです。

今回は、ジェレミー・シーゲル教授の名著『株式投資の未来――永続する会社が本当の利益をもたらす』を読んで、

特に印象に残ったことをみなさんと共有したいと思います。

ジェレミー・シーゲル教授の名著『株式投資の未来』

200年以上にわたる米国株式のデータを用いた分析は圧巻で、

「長期投資の本質」を学ぶ上で外せない一冊です。


人気株よりも「地味な銘柄」が報われる

本書で何より驚かされたのは、

ITやバイオといった成長期待で注目される銘柄よりも、

タバコ・エネルギー・生活必需品といった不人気業種の銘柄

が長期リターンで大きく勝っていた、という事実です。

成長株は「未来の成長」をすでに株価に織り込んでしまうため、

実際に業績が伸びても投資家のリターンは平凡になりがちです。

一方、地味な企業は株価が割安に放置され

しかも高配当を出すため、

配当再投資による複利効果が強烈に効いてくるのです。


配当再投資の力

シーゲル教授が繰り返し強調しているのが、

配当を再投資することの重要性です。

たとえば、フィリップ・モリス(現アルトリア)は長年にわたり「不人気」銘柄でしたが、

配当をコツコツ再投資した投資家にとっては、

S&P500や有名IT株を大きく上回るリターンをもたらしました。

「株価の上昇=リターン」ではなく、

配当+再投資こそが長期の果実である点は、

個人投資家として強く意識したい部分です。


今の「人気銘柄」半導体株に思うこと

2025年現在、世界中で人気が集中しているのは

NVIDIAをはじめとする半導体関連株です。

確かに生成AIやデータセンター需要の追い風は強力ですが、

すでにPERは市場平均を大きく上回り、

「将来の成長をどこまで織り込んでいるのか?」という疑問は残ります。

シーゲル本の教訓を当てはめるなら、

むしろ脚光を浴びていない 不人気株 の方が、

今後の長期リターンでは魅力的かもしれません。


東証スタンダードの「不人気・小型株」との比較

さらに日本市場で考えると、

人気の半導体株(東京エレクトロン、アドバンテストなど)

がPER20〜30倍で高い評価を受けているのに対し、

東証スタンダードに上場するネットキャッシュ比率の高い小型株は、

往々にしてPER一桁台で放置されています。

人気株(半導体)

  • 高成長期待 → 高PER
  • 配当よりも株価上昇頼み
  • 将来がやや織り込み済み

不人気株(スタンダード小型株)

  • ネットキャッシュ比率が高く財務健全
  • 市場から注目されず割安放置
  • 配当や自己株買い余力も大きい

このコントラストはまさにシーゲル教授が説く

「人気株より不人気株の方が報われる」

という構図に重なります。

派手さはなくても、健全財務と割安評価を持つ小型株を長期で持つほうが、

将来的に高いリターンを享受できる可能性があるのです。

ネットキャッシュ比率は以下の式で算出されますが、

私は、清原達郎氏の「わが投資術 市場は誰に微笑むか」で知りました。

ネットキャッシュ比率=ネットキャッシュ/時価総額 =(流動資産+投資有価証券×70%-負債)/時価総額

清原達郎. わが投資術 市場は誰に微笑むか (p.92). 講談社. Kindle 版.

学びと実践

『株式投資の未来』を読んで、

改めて自分の投資方針に組み込みたいと思ったのは

以下の3点です。

  • 配当を重視する
  • ネットキャッシュ比率の高い小型株に注目する
  • 流行の銘柄に飛びつかず、長期の複利効果を信じる

一見退屈に見える投資こそ、

未来の自分を豊かにしてくれるのだと思います。

ここでジョージ・ソロスの名言を、

投資が楽しいなら、たぶん儲かっていない。投資が退屈なら、たぶん儲かっている。


まとめ

『株式投資の未来』は、

単なる投資本というより「長期投資の哲学書」に近いと感じます。

派手なストーリーに惑わされず、

淡々と「不人気だけれど生き残る企業」に投資する

このシンプルな考え方が、

結局は最も再現性が高い投資法なのかもしれません。

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