【保存版】ネットキャッシュ比率および修正ネットキャッシュ比率の計算方法|清原達郎『わが投資術』を参考にして

株式投資

こんにちは、アジ大です。

株式投資で「本当の割安株」を探すとき、PERやPBRだけでは見えない現金力に注目した指標があります。
それがネットキャッシュ比率です。

私は、この言葉を清原達郎著『わが投資術 市場は誰に微笑むか』 で初めて知りました。

その後、個別株についてはこのネットキャッシュ比率に注目して投資を行っています


ネットキャッシュ比率とは?

ネットキャッシュ比率とは、一般的に
企業が負債を差し引いた後にどれだけ現金等を持っているかを時価総額と比較した指標です。

  • ネットキャッシュ(現金余力)
    = 手元流動性(現金・預金、短期有価証券など即時に使える資金)– 有利子負債
  • ネットキャッシュ比率
    = ネットキャッシュ ÷ 時価総額

👉 1.0以上なら「手元現金だけで時価総額をまかなえる」ことを意味し、
キャッシュリッチで極めて割安な企業と評価されやすくなります。


清原達郎氏のネットキャッシュ比率はより保守的

清原達郎著『わが投資術 市場は誰に微笑むか』 で紹介されている

ネットキャッシュ比率は「有利子負債」ではなく「負債総額」を使う独自手法です。

ネットキャッシュ比率=ネットキャッシュ/時価総額 =(流動資産+投資有価証券×70%-負債)/時価総額

清原達郎. わが投資術 市場は誰に微笑むか (p.92). 講談社. Kindle 版.

これは安全マージンを保守的に取るためで、

さらに、投資有価証券は税率30%を引いた70%の評価額となっており、

より安全マージンが取られています。

私は普段の銘柄分析でこの清原式ネットキャッシュ比率を利用しています。

この清原式ネットキャッシュ比率が1とは以下のような意味を持ちます。

ネットキャッシュ比率が1なら、お金を借りて時価でその会社の株を全部買うと、借りたお金は会社にある現金や換金可能な流動資産を売って返済できます。つまり、ただで会社が買えるのです。

清原達郎. わが投資術 市場は誰に微笑むか (p.94). 講談社. Kindle 版.


計算ステップ(丸藤シートパイル(8046)の具体例)

ここでは過去記事【2025年9月】丸藤シートパイル(8046)の修正ネットキャッシュ比率は1.69で超割安でも取り上げましたが、丸藤シートパイル(8046)の2026年3月期 第一四半期決算短信の貸借対照表(バランスシート)の数値を用いて計算してみます。

まず、流動資産合計は以下のように¥317.06億になります。

丸藤シートパイル(8046)の2026年3月期 第一四半期決算短信(当サイトで一部加工)

次に投資有価証券はないため¥0になります。

次に負債合計は¥120.9億になります。

丸藤シートパイル(8046)の2026年3月期 第一四半期決算短信(当サイトで一部加工)
  1. 清原式ネットキャッシュ
    = 317.06 + 0 × 0.7 − 120.9
    = 196.16億円
  2. 清原式ネットキャッシュ比率(2025年9月12日時点の時価総額は155億円
    = 196.16 ÷ 155
    = 1.27

👉 この企業は現金余力が時価総額を上回るため、
「理論上は全株を買収してもその会社の現金資産だけで買収に要した金額を回収でき、かつ余分に現金をもらえる」状態です。

以下は清原氏の本からの引用になりますが、非常識な割安状態です。

 ネットキャッシュ比率が1を超えている株式は「ただで会社をもらった上に現金までもらえる」ということですから、さらに非常識なvaluationです。常識ではありえないことが日本の株式市場では起きています。

清原達郎. わが投資術 市場は誰に微笑むか (p.94). 講談社. Kindle 版.

例えるなら、「中身が10万円入った財布を、9万円で買えるようなもの」でしょうか。

各銘柄の決算短信はマネックス証券の「銘柄スカウター」から簡単に見ることができます。
👉 まずは無料で口座開設して、銘柄スカウターを実際に使ってみましょう。

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修正ネットキャッシュ比率とは?

私は、清原式ネットキャッシュ比率の応用として、
土地含み益など帳簿に反映されていない資産を加味した「修正ネットキャッシュ比率」を最近計算するようになりました。

なぜなら、日本企業は土地を時価評価せず取得原価で計上する会計ルール(取得原価主義)が多いため、
保有不動産に帳簿価格を大きく上回る含み益が存在する場合があるからです。

計算式例:

修正ネットキャッシュ比率 =(流動資産+投資有価証券×70%+土地含み益-負債)/時価総額

土地含み益賃貸等不動産リストや有価証券報告書などから調べることができます。

過去記事【2025年9月】丸藤シートパイル(8046)の修正ネットキャッシュ比率は1.69で超割安でも取り上げましたが、
丸藤シートパイル(8046)の2025年3月時点の
土地含み益は¥69.4億です。

https://chintaihudosan-list.com/?query=8046

丸藤シートパイル(8046)の、
修正ネットキャッシュ比率は1.71という超割安状態が確認されています。

👉 「理論上は全株を買収してもその会社の現金資産だけで回収でき、かつ余分に現金および69.4億の含み資産のある土地ももらえる」状態です。

例えるなら、「中身が10万円入った高級財(財布の価値自体が10万円)9万円で買えるようなもの」でしょうか。


小型株は投資妙味が大きい

  • 小型株はアナリストによる分析がされていない
  • だから割安に放置されている企業が多い
  • 小型株の割安度の指標の一つとしてネットキャッシュ比率および修正ネットキャッシュ比率が非常に有益である。

まとめ

  • ネットキャッシュ比率 = (流動資産+投資有価証券×70%−負債)÷時価総額
  • 修正ネットキャッシュ比率 = (流動資産+投資有価証券×70%+土地含み益−負債)÷時価総額
  • 1.0以上なら“現金+土地の含み益、またはそのどちらかだけで時価総額をカバー”でき、
    ただでその会社が買えるだけでなく、余分な現金や含み益を有する土地が手に入る。
  • ネットキャッシュ比率および修正ネットキャッシュ比率は小型割安株をみつけるための優れた武器となる。

参考書籍

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